春の幻想

桜

風にのって

心地よい風にのって

どこまでも飛んでゆこう

そう 風にのって

遠くの見知らぬ国まで

僕の心の思うままに

どこまでもゆこう 風に任せて

風は本当の風じゃない

空も本当の空じゃない

心の中の 風や空さ

暖気流に乗って のぼってゆく

あの 雲の上まで

いけるかな

もっと高く もっと遠く いけるかな

Visitor

僕は人生の訪問者

いつもリュックを背負って移動してる

朝早くから、僕はでかけてゆく

どこに?

居場所がないんだよ

落ち着けるところが欲しいとも思うけど

ただ漂っているのがお気楽

今日は仕事に行こうか

満員電車で立って眠れることはないが

でも自分の好きな場所は分かってる

デスクに辿りつけば とりあえず一段落さ

彼らに挨拶して PCを起動したら

お茶でも入れに行こう

タバコでも吸いに行こう

彼らは僕の成果は気にするけれど

僕自身にはほとんど関心がないんだ

そう 彼らは分かってる

僕は一時的な存在だということ

I’m a visitor.

人生の砂時計

アインシュタインの相対性理論によれば

光より早く移動すれば

過去に戻れるらしい

夢のタイムマシンだ

それが出来たとして

昔の自分に会えたとしても

昔の自分に戻れるわけではないだろう

そんなことはあり得ない

自分の時間は巻き戻せない

万が一 戻れるとして

自分がどうするのか分からない

仮にパラレルワールドが始まっても

あまり変わりのない人生なのかも知れない

さらさらと人生の砂時計は時を刻む

全てを押し流してゆくんだ

地球上で誰もが重力に逆らえないように

時間に逆らえるものなどない

人生の砂時計はさらさらと時を刻んでいる

小さな世界

銀河は宇宙の一部分で

太陽系は銀河の一部分で

地球は太陽系を構成する一つの惑星

地球には幾つかの大陸と海があって

それらは いくつもの国に分けられていて

一つの地図をなしている

僕らはその地図の中のどこかで生きている

小さな世界

最後のメルヘン

道に迷ってしまったみたいなの

帰りたいけど さあ どこへ行けば

ここがどこなのか 分からなくなってしまったの

そんな時 あなたが現れた

あなたが狼だということはすぐに分かったけど

だだの狼ではないと思ったの

多分 この日を待っていたのかも

探すのにくたびれて 疲れ果てて

誰か助けて と思った時に

あなたが現れた まるで待っていたかのように

私にまだ魅力があるの?

私はまだ老いていないの?

連れて行って どこにでも

帰るところは もう分からないし

私は多分 どこか知らないところへ

逃げたかっただけなのかも知れない

私に何かちょうだい

空っぽのおなかには何かが要るの

もしそれが毒りんごでも構わない

あなたのくれたものだもの 後悔しないわ

そして その後に 私をあげるわ

そして これが 私の 最後のメルヘン

空飛ぶ地下鉄

通勤はとても退屈な時間

ドラえもんの どこでもドア が欲しくなる

いつものように混んでいて

いつものように吊革につかまって

憂鬱な職場に向かっている

毎日繰り返される風景

スマホでゲームしてる人が多いね

世界中のゲーマーと対戦してると思ってるだろうけど

本当は この車両の乗客同士で対戦しているんだ

運よく座れて 眠っている人たちと どっちみち大差ないさ

今日も人身事故か

確かに 鉄道会社にとっては事故ですね

嗚呼 遅れてしまうのは確実だ

しばらく動きそうもない電車

僕は待つのは苦にならないけど

急いて携帯で電話をかける人たち

今日じゃないといけない とても重要な仕事なんてあるんだろうか?

数十分間に合わなくて 何が問題なの?

別に会社に行かなくても誰も困らないんじゃないの?

どうせ電話じゃ 分かった ゆっくり来てくれと言われるだろう

そんなもんだよ 絶対必要な人間なんていない

いなくなれば次の役者を探すだけさ 誰でもいいのさ

そんな時 電車はレールから浮き始めた

ゴゴォと唸って自分の意志で動き始めた 空飛ぶ地下鉄

まるで竜のように力強く

皆を連れて 宇宙までとんでゆけ

言葉

言葉は大切なもの

人を優しくしたり 傷つけたりもする

言葉の要らない世界なら良いのに

それはテレパシー?

でも そっちの方がもっと怖い気がする

皆が相手の気持ちを分かって

何を考えてるのか分かって

話す必要もなくなってしまったら

コミュニケーションは要らないの?

分からないから 知りたいんでしょ

話したい欲求がなくなれば

それじゃ 何も面白くない

あなたは何を考えてるの?

私はあなたに必要なの?

ちゃんと答えて下さい

言葉でちゃんと答えてください

頭で考えた言葉ではつまらない

あなたの心から湧き上がるものが聞きたい

コミュニケーションは言葉がすべてじゃない

言葉は聞こえるものだけじゃなくて

伝えたい気持ちなんだよ

学園通りに春の風

渋滞の首都高速を抜けて

君がこれから住む街までゆく

最後のドライブかも知れない

もう少しだけ 一緒の時間を過ごしたい

ここが君の新しい部屋

ちょっと狭いけれど見晴らしは良い

君も気に入ったようで良かったよ

新しい友達と

ここで暮らしてゆくんだね

ここから自転車通学だ

坂道を駆け抜ける君が目に浮かぶよ

そして新しい学校へ

落ち着いた茶色い校舎が素敵だね

君の新しい生活が始まる

学園通りに 春の風が吹いている

遠い記憶

幼少のころ

窓から外の大きな木をみていた

そのくらいしか覚えていないんだ

小学校入学時

僕は入学生代表として挨拶したらしい

でも全然 覚えていないんだ

親の昔話を馬鹿にして聞いていた

血を売ってフラフラになったって

たけのこが突き破るような部屋に 住んでたって

夕方から学校にゆくので 兄さんええ商売やなって言われたって

そりゃ親父にも青春時代はあるさ

嘘か本当か分からなくなるけど

少なくとも親父の頭の中では真実なんだ

多分 誰にでもある遠い記憶

人の数だけある思い出

馬鹿にしちゃいけない

エンドレスのリフレインでも

雪が解けて春が来る

雪が解けて 道はできる

明るい日差しが 戻ってくる

辛い時は 必ず終わる

さわやかな気分が 戻ってくる

何もない一日が 気楽な一日が

生きてゆくためには 必要なのさ

辛い日々があって 喜びがある

安らげる時間が 戻ってくる

そんなこと君と笑って言い合いたい

とても辛い日々が終わった時に

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